環境に配慮した『サステナブル・マーケティング』のすすめ

近年、重要視されている『サステナビリティ(Sustainability)』や『サステナブル(Sustainable)』は、英語で『持続可能性』『持続可能な』を意味する言葉です。
もともとは環境や社会問題の分野で使われてきましたが、最近では企業においても社会的責任(CSR)の意識が高まり、サステナビリティを考慮した商品開発や事業に取り組む事例が増えています。
今回は、ブランディングの面でも無視できない『サステナブル・マーケティング』について、説明します。

企業の新しい目標となった『サステナブル』

サステナビリティの考え方は、1987年に国連の『環境と開発に関する世界委員会』のなかで、『持続可能な開発(Sustainable Development)』として、初めて提言されました。

2010年前後のエコブームの際には、環境を保護し、資源を消費し尽くすことなく、長い将来にわたって豊かな暮らしを持続していくことを目指す概念として広く知られるようになりました。
近年では、単純に『継続できるもの』という文脈で語られることも少なくありませんが、本来は環境問題を中心に、貧困問題や人権問題などの社会的課題を解決するための目標や方法として語られるものです。

今や社会的な課題は、国家レベルで取り組むだけではなく、企業も向き合っていかなければいけないものとなっています。
“今さえよければいい”といった考え方で目前の利益を追求するのではなく、いかに社会的課題を解決し、サステナブルな社会を作っていくのかということが、企業活動を継続するうえで必要になっているのです。

環境に与える影響を抑え、サステナブルな社会を目指す取り組みを行うことは、ブランドイメージの観点からも重要視されており、そういった取り組みを行う企業は消費者からプラスのイメージで捉えられます。
そして、それが消費者の購買行動にも影響するようになっているため、取り組みを行うことはもちろん、取り組みを知ってもらうための『発信』も欠かせません。
サステナブル・マーケティングでは、こうした視点を持つことが大切です。

地球環境を守る取り組みがブランドイメージを高める

サステナブルな社会を目指す取り組みとして、代表的なものが環境への配慮です。
環境保護の視点はブランドイメージの向上には必須です。

たとえば、スターバックスコーヒージャパンは、サステナブルな未来をつくるアクションとして、2020年1月から順次、使い捨てのプラスチック製のストローを撤廃し、紙ストローを導入。
『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングも、2019年9月から順次、ショッピングバッグをビニール袋から紙袋に切り替えていき、さらに2020年9月からは、日本国内のユニクロ・ジーユー全店舗でショッピングバッグを有料化しています。

いずれも消費者から高い評価を得て、称賛を持って受け入れられている施策です。

さらに、世界的なスポーツメーカーであるナイキは、気候変動からアスリートの未来を守る取り組みとして、炭素と廃棄物の排出量ゼロを目指す『Move to Zero』という包括的な取り組みを2019年にスタートさせました。
『Move to Zero』には、2050年までにナイキが所有および運営する施設を100%再生可能エネルギーで稼働させることや、2030年までに炭素排出量を30%削減すること、シューズの製造過程で出る廃棄物の99%を再利用することなど、具体的な取り組みの内容が示されています。

2018年時点でも、生産しているプロダクトの75%に再生素材を使うなど、環境問題への取り組みで世界をリードしてきたナイキですが、2019年に『Move to Zero』を掲げることで、サステナブル・マーケティングをより前進させました。
これらの取り組みは、特に環境問題への意識が高い欧米では大きなニュースとして取り上げられています。

もちろん、ナイキのような大規模かつ先進的な取り組みは、大企業ならではのものかもしれません。
しかし、『サステナブルな社会』を目指すという姿勢は、常に持っておかなければいけませんし、取り組みを消費者に発信し、共感を集めることも重要なマーケティング施策となっています。
企業としてどんな社会貢献を行えるのか、環境に対してどんな取り組みができるのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

※本記事の記載内容は、2021年2月現在の法令・情報等に基づいています。